HOPE.

海外カナダで子育て中。

離乳食としてのお米の危険性。

私はカナダで二児出産し、子育てをしている。長女の離乳食は基本的に日本流で進めたので、もちろん最初はお粥から始まった。

 

厚生労働省が発行している「授乳・離乳の支援ガイド」にも”離乳食の開始はおかゆ(米)から始める。”*1と明確に記載されている。なぜ離乳食はお米から始めるのか?それは、お米は消化吸収が良く、アレルギーも引き起こしにくい品目であること。日本ではお米を主食としているので特に馴染みの深い食物であることは言うまでもない。

 

日本だけでなく、北米やヨーロッパでもお米は離乳食に使われており、お米が粉末状に加工され、お湯などで溶かすだけで出来上がる便利なライスシリアルがある。このライスシリアルは離乳食初期から食べることができるとされ、ベビーフードの鉄板商品である。この便利さからアメリカなどから日本に個人輸入をして使われている方も多いと聞く。

 

しかし近年このライスシリアルまたは米に含まれるヒ素に関して、アメリカやカナダで問題になっている。

 

ヒ素とは

ヒ素は自然環境中に広く存在する元素です。地殻中に分布しており、火山活動や森林火災、鉱物の風化などの自然現象によって環境中に放出されるため、土壌や水中に天然由来のヒ素が含まれています。*2

 

ヒ素はお米が水耕栽培で行われることにより、他の穀物に比べて多く含まれ(オーツに比べ最低でも5倍の量を含む)乳幼児への悪影響が大きく懸念されている。

 

ヒ素による悪影響

子供の脳(ニューロ回路)の成長に特に悪影響があるとされ、IQ数値の低下、言語能力、記憶力、ADHD、皮膚癌、膀胱癌、糖尿病タイプ2の疾患リスクを高めることがわかっている。

 

さらにはお米が原材料の幼児用の商品に関して特記すべき点は、ヒ素だけでなくほぼ確実に有害性重金属である鉛、カドミウム、水銀が含まれることが見られることである。

 

乳幼児の成長過程にある脳は毒性の化学物質に大変弱く、幾つかの成長プロセスに大きく悪影響をもたらすと考えられる。乳幼児は身体が小さく、他にも成長過程の内臓があり大人よりも重金属を体内に吸収することが確認されている。この成長過程にある段階で重金属にさらされると、”治療不可能で多くは永続的に”脳へのダメージが見られる。

*3

 

乳幼児がヒ素や有害性重金属にさらされることを防ぐために以下の注意点が公開されている。

 

ーハイリスクの食品や食材を極力子供に与えない。

お米またはお米が原材料のおやつなどを含めた物を極力避け、他の穀物を取り入れる。(さつまいも、アップルジュース、グレープジュースにもヒ素が多く含まれる傾向にある)

ー製品が安全だというメーカーの主張を鵜呑みにしない。

Holle USA*4は自社のベビーフードが”鉛ゼロ”や”重金属検出ゼロ”といった宣伝をしておきながら、米検事当局に命じられたテストでは検出可能なレベルのヒ素カドミウム、鉛が発見されたため取りやめるように要請されている。

ーオーガニックのものならヒ素が少ないだろうという認識は間違い。

オーガニック商品であればなんとなく安全であると思わないこと。少なくとも有害性重金属に関してはオーガニックだからと言って、これらの含まれる量が低いとはいえない。

 

私がこの件で懸念に思うことは、こういった危険性のある商品が、リコールや販売中止になったものもあるものの、いまだに普通に購入することが可能ということである。日本のブログなどでも、危険性の高かったライスシリアルを未だにお薦めしている。現地アメリカでは2020年に乳幼児対象のライスシリアルに含まれるヒ素の制限が設けられた(1kgにつき100μg)ものの、多くの専門家が乳幼児の健康を守るためには充分でないと指摘している。さらにカナダではまだ制限は設けられていない。商品に含まれるヒ素に関する調査が実施された際にも、調査協力を拒否する会社もあった。それはおそらく乳幼児の健康よりも自分達(会社)の保身を考えての対応であると取れ、不信感を煽る。

 

アメリカ合衆国下院が提出したリポートに記載があるように、

安全でないものを乳幼児用の食品として売らないだろう。また政府はそのようなものを販売することを許可しないはずだと消費者から信じられている

はずのベビーフードメーカーが失う信用は大きい。

 

ヒ素は地球上に広く存在する元素であり、自然環境中にあるヒ素を完全に避けることは難しい。ベビーフードメーカーは脆弱な乳幼児の健康にダイレクトに関係している自覚を持つ必要がある。私自身小さな子供を持つ身であり、このヒ素に関する問題を見つけてからはベビーフードメーカーに対する目がネガディブな方向へと一気に変わった。

 

#離乳食 #健康

 

 

*1:

厚生労働省 授乳・離乳食支援ガイド(2019年改訂版)

https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf

*2:食品中のヒ素に関するQ&A:農林水産省

*3:参考文献 アメリカ合衆国下院リポート Baby Foods Are Tainted with Dangerous Levels of Arsenic, Lead, Cadmium, and Mercury 2021年2月4日発行

https://oversight.house.gov/sites/democrats.oversight.house.gov/files/2021-02-04%20ECP%20Baby%20Food%20Staff%20Report.pdf

*4:HOLLE Organic Baby Food: スイス拠点のオーガニックベビーフードメーカー